
ここから15回は、調査の実際を書きます。まず、何が証拠と呼べるのかから。
ここから15回は、調査の実務を書きます。何をどうやって、何が残るのか。
最初に、「証拠」という言葉の中身を整理しておきます。ここがずれていると、話がかみ合いません。
求められるのは、不貞行為の推認
慰謝料や離婚の場面で問題になるのは、不貞行為があったかどうかです。
ただ、その場面を直接撮ることはできません。ですから、外から見える事実を積み上げて、そう推認できる状態にすることになります。
これが、この仕事の基本の形です。

強い材料
実務で強いとされるものを挙げます。
- 二人でホテルに入り、出てくるまでの一連の写真
- 相手方の自宅に入り、長時間滞在して出てくる写真
- それが複数回あること
共通しているのは、「入る」と「出る」が対になっていることです。入るところだけでは、滞在の時間が分かりません。
弱い材料
一方、単体では弱いものも挙げておきます。
- メッセージのやり取りの画面
- 食事をしている写真
- 手をつないで歩いている写真
- ホテル街を歩いている写真(入っていない)
いずれも、そこから先が言えません。ただ、強い材料と組み合わせると、意味を持ちます。捨てないでください。
「継続性」という考え方
1回では足りないと言われる理由が、ここにあります。
1回であれば、たまたま、あるいは事情があった、と説明される余地が残ります。同じ二人が、複数回、同じような行動をしている。この形になると、説明が難しくなります。
この話は、59回目に詳しく書きます。
写真に必要な条件
実務の細かい話です。写真には、次が必要です。
- 撮影の日時が記録されていること
- 場所が分かること(建物名、看板、周囲の目印)
- 人物が同一だと分かること(服装が連続していること)
- 二人が一緒であることが分かること
3番目のために、合流の場面から追います。途中から撮り始めると、同一人物であることが示せません。
動画のほうが強い場面
写真だけでなく、動画を撮ることがあります。
出入りの前後を続けて記録できるので、切り取ったのではないかという疑いが出にくいという利点があります。
ただ、暗い場所では写真のほうが鮮明なことがあります。場面によって使い分けます。
報告書が、これらをつなぐ
写真や動画だけでは、ばらばらの点です。
それを時系列に並べ、場所を地図で示し、経過を文章にする。この作業をして、はじめて使える形になります。
報告書の質が大事だと繰り返し書いてきたのは、このためです。
「証拠が取れなかった」の中身
整理しておきたいことがあります。
「証拠が取れなかった」には、2つの意味があります。相手が何もしていなかった場合と、してはいたが記録できなかった場合です。
この2つは、まったく違います。前者なら、それが答えです。後者なら、やり方の問題です。
ですから、報告では「確認できなかった」と「そうした事実がなかった」を書き分けます。この2つを混ぜてしまうと、依頼者が判断を誤ります。
記録は、あとから作れません
最後に、時間の話をします。
外での行動は、その日その場でしか記録できません。過去にさかのぼって撮ることはできません。
ですから、「あの日に見ておけばよかった」という悔いが残ることがあります。これは、こちらにもあります。
完璧に押さえることはできません。できるのは、確からしい日に、できるだけ良い形で記録することだけです。
よくあるご質問
ホテルに入る写真がなければ、だめですか。
そうとは限りません。相手方の自宅への出入りや、長時間の滞在でも足りる場合があります。状況によって組み立てます。
顔がはっきり写っていないと、意味がありませんか。
合流からの一連の流れが記録されていれば、同一人物であることは示せます。すべての写真で顔が必要なわけではありません。
証拠として足りるかどうか、事前に分かりますか。
最終的な判断は弁護士の領分です。ですので、報告書を弁護士に見ていただくことをおすすめしています。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。