
録音は、できる場合とできない場合があります。分かれ目は、その会話に自分がいるかどうかです。
録音については、よく質問をいただきます。そして、誤解も多いところです。
結論から書きます。分かれ目は、その会話に自分が参加しているかどうかです。ここで、扱いがまったく変わります。
自分が参加している会話
自分も加わっている会話を、相手に知らせずに録音すること。いわゆる秘密録音です。
これは、原則として問題になりません。民事の場面では、著しく反社会的な手段で得たものでない限り、証拠として扱われるのが実務の一般的な考え方です。
話し合いの場を記録しておくこと自体は、あなたの正当な行為です。

自分が参加していない会話
一方、自分がいない場所の会話を録音する場合は、話が変わります。
相手の部屋や車に機器を仕掛けて、二人の会話を録る。この行為は、プライバシーの侵害として不法行為(民法第709条)に当たり得ます。
さらに、仕掛けるために相手の住居や、他人が管理する場所に立ち入っていれば、住居侵入罪の問題が生じます。刑法第130条は、正当な理由なく人の住居等に侵入した者を、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金としています。
電話の傍受
電話については、さらに厳しい扱いになります。
他人どうしの通話を無断で傍受することは、通信の秘密の問題になります。この領域には、手を出さないでください。
なお、自分にかかってきた電話を自分で録音するのは、前に書いた「自分が参加している会話」ですので、別の話です。
録音があっても、それだけでは足りない
実務の話を1つ。
仮に、相手が認めた音声が録れたとします。それは強い材料ですが、それだけで話が終わるとは限りません。「言わされた」「その場を収めるために言った」と後から言われることがあります。
ですから、録音は、ほかの記録とあわせて使うものだと考えてください。行動の記録と重なったとき、はじめて動かしにくくなります。
録っていることが分かると、変わる
もう1つ、現実的な注意です。
録音していると気づかれると、そのあとの会話が変わります。当たり障りのない言葉しか出てこなくなります。
端末を机の上に置いたまま話す、といったやり方は、相手が気づきやすいです。録るなら、目的を1回に絞って、そのために録ってください。毎回録ろうとすると、必ずどこかで気づかれます。
それでも迷われたら
境界線が分かりにくい場面は、実際にあります。
判断に迷われたときは、実行する前にご相談ください。やってしまってからでは、戻せません。
こちらは、法律の範囲でできることの中から組み立てます。範囲の中でも、できることはかなりあります。
録音の残し方
録るのであれば、残し方も決めておいてください。
- 日付と、どういう場面だったかを、別のメモに書いておく
- 元のデータは、加工せずに保存する
- バックアップを、別の場所に1つ取る
2番目が大事です。編集したものは、あとで疑われます。聞きやすくするために切り貼りしたくなりますが、元のまま残してください。必要なら、そのうえで書き起こしを別に作ります。
書き起こしという方法
音声そのものより、書き起こしのほうが役に立つ場面があります。
弁護士に相談する場面では、1時間の音声を聞いてもらうより、要点の書き起こしを渡すほうが早いです。どこに何分ごろ、何を言ったか。この形にしておくと、話が早く進みます。
書き起こしを作る作業は、気持ちの整理にもなります。自分が何を聞いていたのかが、文字にすると見えてきます。
つらい作業ではありますので、無理に一度でやらないでください。何回かに分けて構いません。
よくあるご質問
夫婦の会話を、自分のスマホで録音してもいいですか。
ご自身が参加している会話であれば、通常は問題ありません。ただし、録っていることに気づかれると、そのあとの会話は変わります。
車内に機器を置いておくのは、どうでしょうか。
自分がいない場での会話を録ることになりますので、避けてください。プライバシーの侵害として問題になり得ます。
相手が認めた録音があります。これで慰謝料を請求できますか。
有力な材料ですが、それ単体で決まるとは限りません。行動の記録とあわせると、格段に強くなります。
法律が変わったら、この記事はどうなりますか。
条文と実務の扱いは、改正や判例で変わることがあります。そのつど見直していますが、個別の判断は弁護士にご確認ください。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。