
順番を間違えると、あとから請求できなくなるものがあります。急いで出す前に、読んでいただきたい話です。
気持ちが決まった方ほど、早く形にしたいと思われます。
ただ、離婚と慰謝料は別の手続きです。順番を間違えると、取れるはずのものが取れなくなります。
先に離婚してしまうと、何が起きるか
離婚そのものは、協議が整えば届出だけで成立します。
問題は、そのあとです。離婚が成立すると、相手と連絡を取る理由がなくなります。住所も、勤務先も、変わってしまうことがあります。
慰謝料を請求するには、相手がどこにいるかが分かっていなければなりません。分からなくなってから探すのは、格段に難しくなります。
財産の話も、同じです
財産分与は、離婚のときに取り決めるものです。あとからでも請求できますが、期間の制限があります。
そして、話し合いに応じない相手を、離婚後に動かすのは簡単ではありません。離婚届に判を押すまでが、いちばん交渉の力が働く時期です。
この時期を、何も決めないまま通り過ぎてしまう方が、実際におられます。

証拠がないまま離婚すると
不貞行為があったこと自体を、あとから証明しなければならなくなります。
離婚後は、相手の生活を確かめる手立てが減ります。同居していたころに取れたはずのものが、取れなくなります。
証拠は、まだ同じ家にいるうちがいちばん取りやすい。これは、動かしがたい事実です。
正しい順番
ひとつの目安として、次の順番をおすすめしています。
- 着地点を決める(離婚したいのか、慰謝料も求めるのか)
- 証拠を集める
- 弁護士に相談する
- 条件を決める(慰謝料・財産分与・親権・養育費)
- 合意の内容を書面にする
- 離婚届を出す
離婚届は、いちばん最後です。これだけ覚えておいていただければ、大きく外れません。
「もう限界です」という方へ
ここまで書いてきて、それでも今日出したい、という方がおられると思います。
安全に関わる場合は、そちらが先です。身の危険があるなら、順番を守っている場合ではありません。まず離れてください。
そうでない場合は、あと1か月だけ待てないかを考えてみてください。1か月あれば、記録の整理と、弁護士への相談まで進められます。
その1か月で結果が変わることは、実際にあります。
書面にしておくことの意味
取り決めた内容は、必ず書面にしてください。
口約束は、ほとんど守られません。とくに金銭の支払いは、途中で止まることがよくあります。公正証書にしておけば、止まったときに手続きが早くなります。
この手続きは弁護士や公証役場の領分ですので、こちらから代わりに作ることはできません。ただ、どの段階で誰に相談すべきかは、お伝えできます。
別居を先にするかどうか
離婚届の前に、別居という段階があります。ここも順番の話です。
別居すると、相手の生活が見えなくなります。帰宅時刻も、持ち物も、車の使い方も、分からなくなります。同居中に取れていた記録が、そこで途切れます。
ですから、証拠を取るのであれば、同居しているうちのほうが有利です。これは事実として書いておきます。
ただし、同居がつらすぎる場合は別です。心身が持たない状態で我慢しても、いいことはありません。その場合は、別居を前提に組み立て直します。
出ていく前に、しておくこと
別居を決めたら、家を出る前にやっておいたほうがよいことがあります。
- 自分名義の書類(通帳・保険証券・年金・印鑑)を持ち出す
- 家計の状況が分かる資料を、写真に撮っておく
- 自分の持ち物の一覧を作っておく
- 子どもに関する記録(通院歴・学校の書類)をまとめる
出たあとで戻るのは、簡単ではありません。鍵を替えられることもあります。持ち出せるものは、出る前にまとめておいてください。
これは調査の話ではありませんが、順番の話としては同じくらい大事です。
よくあるご質問
もう離婚届を出してしまいました。慰謝料は請求できませんか。
離婚後でも請求はできます。ただ、相手の所在が分からなくなっていると、手続きが進みません。所在の確認からになります。
相手が離婚届に判を押せと迫ってきます。
押す義務はありません。条件が決まるまで押さない、と伝えて構いません。不安であれば、その段階で弁護士にご相談ください。
証拠を集めるあいだ、同居を続けるのはつらいです。
つらさが限界に来ているなら、無理に続けないでください。別居しながらでも進められる方法があります。ご事情に合わせて組み立てます。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。