
会いに行くこと自体は禁じられていません。ただ、どこからが罪になるのかは、はっきり決まっています。
相手が分かったとき、多くの方が同じことを考えます。会いに行きたい、と。
会いに行くこと自体は、禁じられていません。ただ、境界線を越えやすい行動ではあります。どこからが問題になるのかを、条文で確かめておきます。
1 敷地に入った時点
刑法第130条は、正当な理由なく人の住居や、人が管理する建物に侵入した者を罰しています。3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。
「侵入」は、玄関の中に入ることだけを指すのではありません。マンションの共用部分や、戸建ての敷地内も含まれ得ます。
インターホンを押すために門の中に入る。そこですでに、問題になる余地があります。

2 言葉が、脅しになったとき
刑法第222条は、生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると告知して人を脅迫した者を、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金としています。
感情が高ぶった場面で出てしまう言葉が、ここに当たることがあります。「職場に言う」「家族に言う」といった言い方も、状況によっては名誉に対する害の告知と評価される余地があります。
さらに、そうして相手に義務のないことを行わせれば、強要罪として3年以下の拘禁刑の対象になります(第223条)。「この場で念書を書け」と迫るような場面が、これに近づきます。
3 繰り返したとき
一度だけでなく、待ち伏せる、何度も訪ねる、といった行為を重ねると、ストーカー規制法の問題が出てきます。
この法律は、恋愛感情や、それが満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的での行為を対象にしています。適用されるかどうかは、目的の評価によります。ただ、相手方から警察に相談されると、話が一気に大きくなります。
押しかけて、得られるもの
法律の話を離れて、実際どうなるかを書きます。
その場で謝罪を得られることは、あります。ただ、その場の謝罪は、翌日に覆ることがほとんどです。この話は、別の回に詳しく書きます。
一方で、確実に得られるものがあります。相手が警戒すること、こちらの行為が記録として残ること、この2つです。どちらも、こちらに不利に働きます。
それでも会うなら
会うなという話ではありません。順番と場所の話です。
- 証拠がそろってから会う(何も無い状態で会うと、否定されて終わります)
- 場所は、公共の場所にする(相手の家や職場は避ける)
- 言いたいことを、紙に書いていく(その場で言葉を探すと、はみ出します)
- できれば、一人で行かない
- 求めることを、あらかじめ決めておく
準備をして会った方と、勢いで会いに行った方とでは、結果がはっきり違います。これは、何度も見てきたことです。
会う前に、一度立ち止まる
相手の住所が分かった日は、いちばん危ない日です。その日に行動すると、たいてい後悔が残ります。
一晩おいてください。それでも気持ちが変わらなければ、準備を始めましょう。準備には少し時間がかかりますが、その時間は無駄になりません。
何をどうすればいいか分からないときは、話を聞かせてください。決めていなくて構いません。
よくあるご質問
インターホンを鳴らすだけなら、問題ありませんか。
敷地や共用部分に入る形になれば、問題が生じる余地があります。門の外から呼ぶ、手紙を郵送するなど、別の方法をお考えください。
職場に会いに行くのは、どうでしょうか。
相手の勤務先は、管理者のいる建物です。立ち入りを断られた場合はもちろん、業務を妨げたと評価されると別の問題になります。避けてください。
手紙を送るのは、問題ありませんか。
内容によります。事実を伝え、話し合いを求める範囲であれば、通常は問題ありません。害を加える旨の記載があると、別の話になります。
書かれている罰則は、いまの規定ですか。
条文が改正されたときは、書き直しています。実際に動かれる前に、一度ご相談ください。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。