
探偵に依頼したい内容が、ストーカー規制法に触れる形になっていることがあります。断る基準を書きます。
探偵という仕事は、何でも調べられるわけではありません。法律で線引きがされている部分があります。
「相手の居場所を、こっそり分かるようにしてほしい」というご相談をいただくことがあります。内容によっては、その依頼をお受けできない場合があります。
ストーカー規制法に触れる可能性があるからです。「知りたい」という気持ちは自然なものですが、知る方法によっては、依頼者ご自身が責任を問われることがあります。
位置情報の無承諾取得とは
ストーカー規制法には、相手の承諾なく位置情報を取得する行為についての定めがあります(2条3項)。GPS機器を相手の車や持ち物に取り付けることも、この対象に含まれます(同項3号)。
この条文が問題にするのは、恋愛感情や、それが満たされなかったことへの怨恨を目的とする場合です。すべての追跡行為が対象になるわけではありませんが、判断は簡単ではありません。
ここでいう「恋愛感情」や「怨恨」は、法律の条文に書かれた要件です。日常の言葉で言う「心配」や「不安」がそのまま当てはまるとは限りません。
違反した場合の重さ
この規定に違反すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります(18条)。依頼した側だけでなく、取り付けを実際に行った側も、責任を問われる可能性があります。
私のところでは、目的や状況を伺ったうえで、この条文に触れる可能性が高いと判断した場合、お断りしています。

探偵業法という、もう一つの前提
探偵の仕事には、ストーカー規制法だけでなく、探偵業法という別の法律も関わっています。営業を始める前に、公安委員会への届け出が必要です(探偵業法4条)。
届け出をしている事業者かどうかは、依頼する側が事前に確認できることの一つです。名義を貸すことも禁止されています(5条)。
調査で知った内容を、業務以外の目的で外部に漏らすことも禁じられています(10条)。この秘密保持義務は、廃業したあとも続きます。
依頼の内容で、できることが変わる
同じ「相手の行動を知りたい」という依頼でも、目的や方法によって、対応できるかどうかが変わります。尾行や張り込みによる調査と、相手の持ち物に無断で機器を取り付けることは、まったく別のことです。
ご相談の段階で、目的と方法を丁寧に伺うのは、あとで依頼者ご自身が責任を問われないようにするためでもあります。判断が難しい場合は、お断りするだけでなく、別の方法をご提案することもあります。
GPSを使わずに残せる記録
相手の行動が気になる場合も、まずはご自身で見える範囲の記録から始めていただくことをおすすめしています。車の走行距離や帰宅時間など、生活の中で自然に目に入る情報だけでも、状況を把握する材料になります。
「9月2日(水)夜 帰宅時間がいつもよりかなり遅かった」
「9月6日(日)午後 外出先を聞いても答えなかった」
「9月9日(水)朝 車の走行距離が急に伸びていることに気づいた」
こうした記録は、無断で機器を取り付けなくても残せるものです。まずはここから始めていただければと思います。
お引き受けできない調べもの
この段階で私にお願いいただけるのは、ご相談内容がどの範囲までなら対応できるかをお話しすることです。
戸籍や住民票を取り寄せることは、目的の内容によっては第三者が請求できないと法律で定められており、私たちも代行できません。
家の中に立ち入って確認することも同様です。法律に触れる可能性がある方法は、こちらからお断りすることもあります。お受けできる範囲を、最初にはっきりお伝えするようにしています。
よくあるご質問
相手にGPS機器を取り付けてほしいと頼むことはできますか。
内容によりお断りしています。相手の承諾のない位置情報の取得は、ストーカー規制法2条3項に触れる可能性があるためです。
自分名義の車に取り付けて、子どもの行動を知ることはできますか。
所有者ご本人の車であっても、目的や状況によって判断が分かれます。一律にはお答えできませんので、ご相談時に詳しく伺わせてください。
この記事に書かれた法律の内容は、今後も変わりませんか。
掲載した時点の条文をもとに書いています。法律が変わった場合は記事も書き直していますので、最新の内容はご相談時にご確認ください。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。