
請求できる金額と、実際に受け取れる金額は違います。その差を決めるのは、交渉のしかたです。
証拠がそろったあと、多くの方が「取れるだけ取りたい」と思われます。
当然の気持ちです。ただ、詰めすぎた結果、1円も入らないということが起こります。その仕組みを書きます。
請求額と回収額は、別のもの
慰謝料の話をするとき、2つの数字があります。
1つは、請求できる金額。もう1つは、相手が実際に払える金額です。後者を超える請求は、紙の上の数字にしかなりません。
相手に貯えがなく、収入も多くない場合、判決で高い金額が認められても、そこから取り立てるのは簡単ではありません。

追い詰めると、何が起きるか
3つあります。
- 相手が弁護士を立て、交渉が長期化する
- 相手が開き直り、支払いを拒む
- 相手が退職・転居し、所在が分からなくなる
3番目がいちばん厄介です。払う意思がある人を、払えない状態にしてしまうことがあります。職場に伝えた結果、退職に追い込んでしまったという場面が、実際にあります。
先に確保する、という考え方
実務でよく取られるのが、確実に取れる分を先に決めてしまう方法です。
満額にはなりません。ただ、その場で合意して、書面にして、支払いが始まる。この形にできれば、結果として手元に残るものは多くなります。
分割にする場合も、公正証書にしておけば、止まったときの手続きが早くなります。
感情の落としどころ
ここが、いちばん難しいところです。
「お金の問題ではない」とおっしゃる方が多いです。そのとおりだと思います。ただ、謝罪も反省も、こちらから取り立てることはできません。取り立てられるのは、お金だけです。
だから、お金の話に落とし込む。冷たいようですが、それがいちばん現実的な決着のしかたです。
交渉は、自分でやらない
もう1つ、大事なことがあります。
金銭の交渉は、弁護士に任せてください。当事者どうしで金額の話をすると、たいてい感情の話に戻ります。そして、言わなくてよいことを言ってしまいます。
こちらの仕事は、その交渉に使える材料を用意するところまでです。そこから先は、弁護士の領分です。
証拠がそろっていれば、弁護士は動きやすくなります。逆に、材料がないまま相談されると、できることが限られます。
取れる形にしてから、終わる
最後に、目安を1つ。
交渉のゴールは、相手を反省させることではありません。払える形にして、書面にして、終わらせることです。
ここが決まると、次の生活が始められます。長く引きずるほど、こちらの時間が削られます。
何を取りに行くのか。どこで終わりにするのか。調査に入る前に、そこだけは決めておいてください。決まっていなければ、一緒に考えます。
相手方への請求と、配偶者への請求
整理しておきます。慰謝料を請求できる相手は、2人います。
配偶者と、その相手方です。どちらにも請求できますが、二重には取れません。合計で、認められた金額までです。
離婚せずに関係を続ける場合、配偶者に請求すると家計が同じですので、相手方だけに請求するという形が取られることがあります。
このあたりは弁護士の判断になります。ただ、調査の段階で「相手方が誰か」を確定しておかないと、この選択そのものができません。
相手方の特定が、なぜ大事か
前の項目に関わる話です。
相手方に請求するには、氏名と住所が必要です。顔が写っているだけでは、請求できません。
この特定作業を最初から含めているかどうかで、調査の価値が変わります。二人が別れた時点で調査を終える事業者もありますが、それでは請求先が分からないままです。
特定まで含めるかどうかは、着地点によります。離婚だけが目的なら不要な場合もあります。だからこそ、着地点を先に決めておく必要があります。
よくあるご質問
慰謝料の相場は、どのくらいですか。
事情によって幅があります。金額そのものより、相手が払える形にできるかどうかが結果を決めます。具体的な金額は、弁護士にご確認ください。
相手の勤務先に伝えれば、払うのではないでしょうか。
逆に働くことが多いです。退職されると、収入がなくなります。伝える相手と順番は、弁護士と相談して決めてください。
調査の段階で、弁護士も探しておくべきですか。
そうしていただくと、証拠がそろった時点ですぐ動けます。心当たりがなければ、探し方はお伝えできます。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。