
位置情報を無承諾で取得する行為は、ストーカー規制法2条3項の対象です。恋愛感情や怨恨の目的が要件になります。
車の下に、見慣れない小さな機器を見つけた。そういうご相談を受けることがあります。
取り付けられていた期間が長いほど、いつから見られていたのか分からず、不安は大きくなります。行動範囲や生活のパターンが、そのまま伝わっていた可能性もあります。
GPSを使った位置情報の取得は、2021年の法改正で、ストーカー規制法の対象に加わりました。
改正前は、直接的な規定がなく、対応が難しいとされていた行為です。
その機器、恋愛感情ですか
ストーカー規制法2条3項は、位置情報を無承諾で取得する行為を規制しています。ただし、誰が行っても対象になるわけではありません。
興信所や探偵事務所が、正当な調査目的で使う場合は、この条文の対象とは区別されます。この違いを理解しないまま、感情的に規制を求めてしまうと、話がかみ合わなくなることがあります。
要件になるのは、恋愛感情、またはそれが満たされなかったことへの怨恨の感情です。この目的がなければ、同じ条文には当てはまりません。

手のひらに収まる大きさのものが多く、車の下やバンパーの内側に、磁石で取り付けられます。
ストーカー規制法2条3項
条文には、位置情報を無承諾で取得する行為に加えて、3号として、位置情報を取得する装置を、対象者の持ち物に取り付ける行為も挙げられています。
1号は無承諾での取得そのもの、3号は取り付ける行為と、条文上は分けて規定されています。
取り付けた時点で、まだ情報を取得していなくても、規制の対象になり得ます。装着そのものが、行為として扱われるためです。
取得の有無にかかわらず、装着自体が独立した行為として扱われる点は、覚えておいていただきたいです。
取り付けそのものが対象
罰則は、ストーカー規制法18条により、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
恋人や元交際相手からの行為でなくても、対象になることがあります。要件は感情の有無であって、関係の種類ではありません。
片思いの相手や、一度だけ会った相手であっても、恋愛感情という要件を満たせば対象になり得ます。関係の長さや深さは、要件には含まれていません。
一方で、業務として行う位置情報の取得、たとえば会社が貸与した車両の管理などは、目的が異なるため、この条文の対象にはなりません。
目的が正当な業務であるかどうかが、判断の分かれ目になります。私生活の監視を、業務のためと説明して正当化することはできません。
見つけた日を、記録しておく
不審な機器を見つけたときは、次のことを記録しておいてください。
写真は、機器全体と、取り付けられていた場所の両方を撮っておくと、あとで説明しやすくなります。
・9月1日(火)、車の下に見慣れない小さな機器を発見。
・9月3日(木)、同じ場所に付いたままか確認、変化なし。
・9月5日(土)、写真を撮った上で、警察に相談した。
いつ、どこで、どんな大きさのものを見つけたか。写真と日付が、そのまま相談時の資料になります。
調査で応じられること
この段階で、私にできることは、機器の有無を確認する調査と、取り付けた人物を特定するための調査です。
取り付けた相手を特定できても、直接対決したり、話をつけたりすることは、私にはできません。それは弁護士法72条が定める、弁護士の仕事です。相手の家に立ち入って確かめることもできません。
機器を見つけても、ご自身で取り外す前に、まず警察か私のところにご相談ください。証拠として残すかどうかの判断が、変わってきます。
取り外して処分してしまうと、あとから証拠として使えなくなります。
法律の条文は、今後も改正される可能性があります。ここに書いた内容は、確認した時点のものです。条文が変わったときは、記事を書き直しています。
よくあるご質問
見つけた機器は、自分で外してもいいですか。
外す前に、写真を撮っておいてください。証拠として使う可能性がある場合、外し方や保管の仕方にも注意が必要です。
元交際相手ではない場合も、対象になりますか。
恋愛感情や怨恨の感情という要件を満たせば、関係の種類にかかわらず対象になり得ます。
警察と探偵、どちらに先に相談すればいいですか。
緊急性を感じる場合は、警察への相談を先にしてください。証拠集めのご相談は、私のところでも承っています。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。