
IDやパスワードを使って中身を見る行為について、条文の数字を確認しながら書きます。
配偶者のスマホのIDとパスワードを知っているので、中身を見てしまう。よくあるご相談です。
不正アクセス禁止法とは
他人のIDやパスワードを使って、権限なくシステムやサービスにアクセスする行為を禁じる法律です。夫婦であっても、例外にはなりません。
不正アクセス禁止法3条が、不正アクセス行為そのものを禁じています。
家庭内の出来事だから見逃されるだろうと考える方もいますが、法律の適用範囲は、関係性によって変わるものではありません。
違反した場合は、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定められています(同法11条)。軽い気持ちで済む話ではありません。

夫婦の間だからと油断して、証拠のつもりで見た内容が、逆に問題視されることがあります。
「見せてもらった」との違い
相手が自分から見せてくれた場合や、共有の設定になっている場合は、事情が変わってきます。権限なく、こじ開けるようにして見たかどうかが分かれ目です。
ロックを解除する画面を盗み見て暗記したパスワードで開く、という行為は、権限なく開いたとみなされる可能性が高いです。
以前は見せ合っていたが、今は見せてもらっていない、という状況の変化にも注意が必要です。
証拠としても弱くなる
仮に不貞の内容が見つかったとしても、不正な方法で得た証拠は、裁判で使いにくくなることがあります。入手の方法自体が、争点になってしまいます。
遠回りに見えても、正しい方法で確認したものの方が、結果的に強い証拠になります。
スマホの中身を見る代わりに、行動を外側から記録する方法があります。私のところで行っているのは、この方法です。
気になる気持ちは分かりますが、まずはロックを開けずに、行動を見るところから始めてください。
会社のパソコンやメールの場合
配偶者の勤務先のパソコンやメールを確認したいというご相談もあります。会社のシステムは、より厳格に管理されていることが多く、リスクはさらに高くなります。
業務用の端末は会社の資産であり、私的に確認する行為は、不正アクセス禁止法に加えて、会社との関係でも問題になり得ます。
一度でも共有していた設定が、そのまま残っていることがあります。写真や連絡先が自動的に同期される設定は、意図せず中身を見てしまう原因にもなります。
気づいたときに、自分の端末の同期設定を見直しておくことも、トラブルを避ける工夫になります。
弁護士も使わない方法
弁護士であっても、依頼者の代わりに他人のアカウントへ不正にアクセスすることはできません。合法的に集められた証拠だけが、手続きの中で使えるものになります。
法律の名前を知っているだけでも、思いとどまる力になります。知らずに一線を越えてしまう方を、これまで何人も見てきました。気になることがあれば、行動に移す前に、一度私や弁護士に相談してください。
法律の名前を知らないまま行動してしまう方も少なくありません。条文の数字を覚える必要はありませんが、「権限なくアクセスすれば罰則がある」という基本だけは、頭の片隅に置いておいてください。
私のところでは、ご相談の際にこうした法律の基本もあわせてお伝えするようにしています。些細に思えることでも、遠慮なくお尋ねください。
法律を盾に相手を責めるためではなく、ご自身を守るために、正しい知識を持っておいていただきたいと思います。知っているだけで、選べる手段は増えます。迷ったときは、行動する前に一度ご相談ください。急がず、正しい順番で進めていきましょう。
よくあるご質問
家族名義の契約なら見てもいいですか。
契約の名義と、中身を見る権限は別の問題です。相手の同意がない限り、慎重に考えてください。名義があるからといって開いてよいとは限りません。
一度だけ見るのも違反になりますか。
回数は関係ありません。権限なくアクセスした時点で、行為として成立し得ます。一度きりでも慎重に考えてください。
この記事の法律の説明は、いつの時点のものですか。
2026年9月時点のものです。条文が変わった場合は、その都度書き直しています。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。