
記録は、疑うための作業ではありません。あとで自分が困らないための作業です。何をどう書けばいいのかを、具体的にお伝えします。
前回、日付をつけて起きたことを書き残してくださいとお伝えしました。今回は、その中身の話です。
「記録してください」と言われても、何をどこまで書けばいいのか、はじめは見当がつかないと思います。私が実際にお願いしているのは、次の5つです。
書いておくと効く、5つのこと
1 日付と曜日。これがいちばん大事です。曜日が揃ってくると、意味が出てきます。
2 帰宅した時刻。おおよそで構いません。22時半か23時かがわかれば十分です。
3 本人の説明。「接待」「残業」「同僚と一杯」。言われたことを、言われたとおりに。
4 服装と持ち物。いつもと違ったところだけ。
5 においや汚れ。気づいたことがあれば。なければ書かなくて構いません。

なぜ曜日が効くのか
人の行動には、思っている以上にリズムがあります。会える日は、たいてい限られているからです。相手にも生活があり、家族がいることもあります。
その結果、何か月か記録が溜まると、「水曜と金曜が多い」というような形が見えてくることがあります。
これは、後で調べることになったときに、そのまま効きます。調査は時間で費用が決まりますから、動く日を絞れるかどうかで、かかるお金がまったく変わります。「いつかわからないので毎日見ていてください」と「水曜の夜だけ見てください」では、桁が違うこともあります。
説明を「言われたとおり」に書く理由
3番目の「本人の説明」は、少し補足させてください。
ここは、要約せずに書いておいてください。「残業だと言っていた」ではなく「急に来た案件で、明日までにやらないといけないと言っていた」のように。
理由は二つあります。ひとつは、後で話が食い違ったときに、こちらの記憶があいまいだと押し切られてしまうこと。もうひとつは、説明の細かさそのものが情報になることです。
本当のことを話しているときは、聞かれてもいないことまで話しません。逆に、用意された説明は、細部が妙に整っていることがあります。ただしこれは傾向の話で、これだけで何かを判断できるものではありません。
書いてはいけないもの
ひとつだけ、気をつけていただきたいことがあります。
相手のスマホやパソコンの中身を見て、それを書き写さないでください。
見ること自体に法律上の問題があります。そして、そうやって得たものは、後々こちらの立場を弱くします。「どうやって知ったのか」を説明できないものは、使えないと思っておいてください。
記録は、調べるためだけのものではありません
記録をつけていくと、二つのうちどちらかになります。
ひとつは、ばらばらだった違和感に形が出てくる場合。もうひとつは、書き出してみたら思ったより根拠が薄かったと気づく場合です。
後者も、意味のある結果です。実際、記録をつけたことで気持ちが落ち着き、調べずに終わった方もおられます。
どちらに転んでも、あなたが損をすることはありません。それが、記録をお勧めしている理由です。
記録を置く場所
書く場所について、ひとつだけ気をつけてください。
共有していない場所に置いてください。家族で使っているタブレット、クラウドの共有フォルダ、自動でバックアップが同期される場所。これらは避けたほうがいいです。
手帳がいちばん確実です。デジタルで残すなら、パスワードのかかったメモアプリか、自分だけのアカウントで。
見つかってしまうと、それまでの記録が全部無駄になるだけでなく、こちらが調べていたことが伝わります。
続けるための工夫
毎日つけようとすると、たいてい続きません。何かあった日だけで十分です。
それも、長く書かなくていいのです。「11/24(火)22:10帰宅 接待と説明」の一行で足ります。あとで読み返したときに、日付と事実さえあれば、記憶は戻ってきます。
書けなかった日があっても、気にしないでください。完璧な記録より、続いている記録のほうが役に立ちます。
どのくらいの期間、続ければいいのか
よく聞かれますが、決まりはありません。
ひとつの目安は、1か月です。1か月分たまると、曜日の偏りが見えるかどうかが分かります。見えなければ、もう1か月。
2か月ためても何も形が出てこないなら、それ自体がひとつの答えかもしれません。そのときは、記録を持って一度ご相談ください。読み方をお伝えできます。
よくあるご質問
記録は手書きとスマホ、どちらがよいですか。
どちらでも構いません。大事なのは、その日のうちに書くことです。あとでまとめて書くと、記憶が整理されてしまい、細かい違いが消えます。
記録を相手に見られたら、まずいでしょうか。
見られない場所に置いてください。紙なら職場や実家、スマホならパスコードのかかるメモです。見られた時点で、相手は警戒します。
1か月書いても何も出てこないときは、どうすればいいですか。
それも結果です。何も出ないという記録は、疑いを外していく材料になります。続けるか、いったんやめるかは、そのとき一緒に考えます。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。