
必要な時間は、契約の時点では誰にも分かりません。分からないものを先に買わされる仕組みの話です。
見積もりでよく出てくるのが、時間をまとめて買う形の契約です。
「20時間パック」「30時間コース」。一見すると、単価が下がって得に見えます。ただ、構造をよく見てください。
必要な時間は、契約時には分からない
これが出発点です。
調査に必要な時間は、相手の行動によって決まります。週に何回会っているのか、どの時間帯か、車を使うのか。これは、動いてみないと分かりません。
分からないものを、先に決めた量だけ買う。ここに無理があります。

2つの方向に、ずれる
パック契約は、必ずどちらかにずれます。
1つは、余ることです。5時間で結果が出たのに、20時間分を払っている。返金の定めがなければ、そのままです。
もう1つは、足りないことです。20時間で出なかった場合、追加になります。そして、追加を断りにくい心理が働きます。ここまで払ったのだから、という気持ちです。
「時間を使い切る」動き方
もっと言いにくいことを書きます。
時間をまとめて買う契約では、時間を使うことが目的になりがちです。今日は動く必要がない日でも、契約時間があるから動く。そういうことが起こり得ます。
本来、調査は「動くべき日に動く」ものです。動かない判断も、仕事のうちです。
時間単位で契約する
では、どうすればよいか。
1時間あたりの単価を決めて、実際に動いた時間で精算する。これがいちばん分かりやすい形です。
そのうえで、上限額を決めておきます。「合計でこの金額を超える場合は、事前に相談する」。この一文があれば、費用が読めなくなることはありません。
契約書で確かめる箇所
契約の前に、次の点を書面で確かめてください。
- 単価(1時間あたり、調査員1名あたり)
- 最低契約時間
- 上限額
- 余った場合の扱い
- 中止する場合の手続きと精算
4番と5番が書かれていない契約書は、避けてください。この2つが、いちばんもめる箇所です。
説明を受ける権利があります
知っておいていただきたいことがあります。
探偵業を営む者は、契約の前に、書面で重要事項を説明する義務を負っています。探偵業の業務の適正化に関する法律に定められた義務です。
この説明がないまま契約を求める業者は、法律を守っていません。その一点だけでも、選ばない理由になります。
この話は、次々回に詳しく書きます。
延長するかどうかは、その場で決める
時間単位の契約にした場合、当日に判断する場面が出てきます。
相手が動き出したが、契約時間が終わりに近い。ここで延長するかどうかを、その場でご相談します。黙って延長することはありません。
延長の判断は、状況を見てお決めください。「今日は引く」という判断も、十分ありえます。無理に続けても、費用だけがかかることがあります。
ですから、当日は連絡が取れる状態にしておいていただけると助かります。
中止したいと思ったとき
もう1つ、大事な権利の話をします。
契約したあとでも、調査を中止することはできます。気持ちが変わった、関係を続けることにした、費用の都合がついた。理由は何でも構いません。
そのときに問題になるのが、精算です。どこまでの費用がかかるのか。契約書に書かれていなければ、もめます。
契約の前に、「途中でやめたい場合はどうなりますか」と、必ず聞いてください。答えられない相手とは、契約しないほうがいいです。
こちらは、その時点までの実働分で精算します。それ以上はいただきません。
よくあるご質問
パック契約は、すべて悪いのでしょうか。
余った分の扱いが明記され、返金の定めがあるなら、選択肢になります。問題は、書かれていない場合です。
最低契約時間があるのは、なぜですか。
準備と移動に時間がかかるためです。3時間程度の下限を設けているところが多いです。理由を説明できるかどうかで判断してください。
上限額を決めると、途中で終わってしまいませんか。
上限に近づいた時点でご相談します。続けるかどうかは、そのときの状況を見てお決めいただきます。黙って超えることはありません。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。