
証拠がそろっても、慰謝料を請求しないと決める方がいます。請求しない理由にも、筋が通っています。
証拠がそろったあとに、「慰謝料は請求しないことにしました」と言われることがあります。
よくある形として書きます。請求しないことにも、ちゃんとした理由があります。この記事では、請求しないという選択について書きます。
請求しない、という選択もある
証拠があるなら、請求するのが当然だと思われがちです。
ですが、請求するかどうかは、証拠の有無とは別の判断です。請求しないことも、選択肢のひとつとして最初から用意されています。
請求しない理由は、さまざま
理由は、人によって違います。
早くきれいに終わらせたい。子どもとの関わりを考えて、争う姿を見せたくない。お金より、心の負担を減らすことを優先したい。どれも、筋の通った理由です。

請求の手続きには、時間も気力も使います。その時間を、新しい生活の準備に充てたいという考え方も、十分に理にかなっています。
ここは、はっきり分けて考えてください。諦めて何もできずに終わるのと、選んだ上で請求しないと決めるのとでは、意味がまったく違います。財産分与や親権など、他の条件で納得できる形を作れているなら、それも解決のひとつの形です。
あとで困らないための整理
請求しないと決めても、記録は残しておくことをお勧めします。
状況は、あとになって変わることがあります。不法行為の損害賠償請求権は、民法724条により、知ったときから3年、行為のときから20年で時効にかかります。今は使わなくても、期間内であれば選び直せます。
記録を残しておくことは、請求するための準備であると同時に、自分の記憶を整理しておくことにもつながります。
私の立場
請求する、しないのどちらであっても、私からお勧めすることはしません。
お伝えするのは、選べる範囲がどこまであるかということだけです。決めるのは、いつもご本人です。
請求しないことを、あとで後悔しないために
請求しないと決めた時点では、それが最善だと感じていても、時間が経って気持ちが変わることもあります。
決める前に、なぜ請求しないのかを、自分の言葉で書き出しておくことをお勧めします。あとで気持ちが揺れたときに、そのときの自分の考えを思い出す手がかりになります。
書いたものは、誰かに見せるためではなく、自分自身のために残しておくものです。
請求しない代わりに、書面を残す
慰謝料を請求しない場合でも、離婚の合意内容は書面にしておくことをお勧めします。
「請求しない」という取り決め自体も、離婚協議書に記載しておくと、あとの蒸し返しを防げます。口約束だけで終わらせないことが、双方のためになります。
書面の作成は、弁護士に依頼すると確実です。費用はかかりますが、あとのトラブルを防ぐ効果を考えると、検討する価値があります。
請求しない選択は、弱さではない
請求しないことを、争いを避けただけの消極的な選択だと感じる方もいます。
ですが、何を優先するかを自分で決めて、その通りに行動できたということです。これは、はっきりとした意思決定です。
まわりの意見に流されて決めたことでなければ、その選択に自信を持っていただいて構いません。
請求以外の形で、区切りをつける方法
お金という形にしなくても、区切りをつける方法はあります。
相手からの謝罪の言葉を書面で残す、二度と連絡を取らないという約束を交わす。金銭以外の形でも、けじめをつけることはできます。
どの形が自分に合っているかは、人によって違います。いくつかの選択肢を知った上で、選んでいただければと思います。迷ったときは、遠慮なくご相談ください。
請求する・しないの判断に、期限のプレッシャーを感じすぎないでください。時効という期間はありますが、慌てて決める必要はありません。納得できるまで、考える時間を取っていただいて構いません。迷ったままでも、まずは今の状況を話していただくことから始められます。
よくあるご質問
請求しないと、あとで請求できなくなりますか。
時効の期間内であれば、あとから請求することもできます。ただし証拠や記録は残しておくことをお勧めします。
請求しない代わりに、他の条件を有利にできますか。
話し合いの内容によります。財産分与や親権などの条件とあわせて、弁護士と相談しながら決める方が多いです。
請求しない決断を、弱気だと思われませんか。
思われません。むしろ、状況を整理した上での判断として受け止められることが多いです。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。