
探偵になるのに資格は要りません。ただし、届出は必要です。制度の実際を書きます。
「探偵になるには、どんな資格が要りますか」と聞かれることがあります。答えは、資格は要りません、です。この仕事をしていて、今でも驚かれることが多い点です。
国家資格でも、民間資格でもありません。誰でも、明日から探偵を名乗ることができます。これは、意外に知られていません。
資格はない
医師や弁護士のような、試験に合格しないと名乗れない仕事ではありません。運転免許のような技能試験もありません。
看板を出して、名刺を作れば、それで探偵業を始めたことになります。技術も経験も、法律上は問われません。極端に言えば、昨日まで別の仕事をしていた人が、今日から探偵を名乗ることもできます。
要るのは届出
ただし、資格がない代わりに、届出は要ります。探偵業法4条で定められています。
営業所の所在地、商号、代表者の名前などを、営業所を管轄する公安委員会に届け出ます。届出をせずに探偵業を営むと、罰則の対象になります。届出は一度出せば終わりではなく、内容に変更があれば、その都度届け出る義務もあります。

届出が受理されると、探偵業届出証明書が交付されます。営業所に掲示する義務もあります。証明書の番号は、契約書にも記載されるのが一般的です。
届出でわかること
届出制度が確かめているのは、腕前ではありません。営業の実態がある事業者かどうか、という点です。
欠格事由に当たらないかは審査されますが、調査の技術や報告書の質までは、届出の段階では見られません。ここが誤解されやすいところです。届出が通っていることと、報告書がしっかりしていることは、別の話です。
名義貸しの禁止
探偵業法5条には、名義貸しの禁止も定められています。届出をした人以外の名前で営業することはできません。
看板だけ大手の名前を借りて、実際は別の人が営業している、という形は禁止されています。6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。フランチャイズのような形態でも、実態がどうなっているかは確認しておいたほうがいいです。
見分け方
資格で選べない以上、何で選べばいいのか。届出番号を掲示しているか、契約書に営業所の住所が明記されているかを確かめてください。
あとは、見積もりの説明が具体的かどうかです。技術は資格で保証されない分、説明の中身で見るしかありません。質問したときに、はぐらかさず具体的に答えてくれるかどうかも、判断の材料になります。
届出前に積んでおく経験
資格がない分、実務は自己流になりがちです。私のところでは、独立する前に別の調査会社で現場経験を積む期間を設けました。
尾行や張り込みの基本、報告書の書き方は、独学だけでは身につきにくい部分があります。経験のある人のもとで学ぶ時間が、結果的に技術の差になります。
業界団体という、もう一つの目安
資格ではありませんが、業界団体に加盟しているかどうかも、一つの目安になります。加盟には一定の審査や倫理規程の順守が求められることが多いです。
加盟の有無だけで良し悪しは決まりませんが、何かあったときの相談先があるかどうかという違いにはなります。契約前に確認してみてもいい点です。資格の有無で選べない以上、こうした周辺情報を組み合わせて見ていくことになります。
長く続けるということ
届出だけなら、極端に言えば誰でもできます。ただ、届出をしてから何年、同じ場所で仕事を続けているかも、実務では大事な指標です。
短期間で看板を変える事業者より、同じ場所で長く営業を続けている事業者のほうが、相談しやすいと感じる方は多いようです。
よくあるご質問
探偵の資格試験のようなものはありますか。
国家資格はありません。業界団体が独自の講習や認定を行っている例はありますが、法律上の資格ではないので、有無だけで判断しないほうがいいです。
無届けの業者かどうかは、どう確認できますか。
営業所への掲示や契約書の記載を見てください。届出番号が示せない場合は、契約を急がないほうがいいです。掲示されている番号を、その場で確認させてもらっても構いません。
届出があれば、安心して依頼できますか。
最低限の条件は満たしています。そのうえで、見積もりや報告書の説明を見て、判断されることをおすすめします。届出はあくまで入口の条件であって、技術力の証明ではありません。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。