
慰謝料の金額は、いくつかの要素を積み重ねて判断されます。その考え方を整理します。
慰謝料の金額について聞かれることが多いので、今回は要素を整理して書きます。
結論から言うと、金額を機械的に決める計算式はありません。裁判所が、いくつかの要素を総合して判断します。
基礎になる考え方
不貞行為は、民法709条・710条に基づく不法行為にあたります。
精神的な苦痛に対する賠償が慰謝料です。財産的な損害とは別に、心の損害を金銭に置き換えるという考え方になります。
同じような事情に見えても、担当する裁判官や積み重ねられた事情の違いによって、判断が変わることもあります。
慰謝料は、精神的な苦痛をお金に置き換えるという性質上、明確な基準を示しにくいという事情があります。同じような期間や回数でも、事情によって金額が変わるのは、このためです。

期間と回数
関係が続いた期間、行為の回数は、大きな要素です。
一度きりなのか、長く続いていたのか。期間が長いほど、金額は上がる傾向にあります。ただし断定的な相場を出すことはできません。
短期間であっても、頻度が高い場合や、計画的に隠していた事実が分かった場合は、心証に影響することがあります。単純に期間の長さだけで判断されるわけではありません。
婚姻期間と子どもの有無
結婚していた年数、子どもがいるかどうかも考慮されます。
婚姻期間が長い、子どもが小さい、といった事情は、生活への影響が大きいと見られやすい要素です。
子どもの年齢によっても、受け止め方は変わります。まだ小さい子どもがいる場合は、生活環境の変化が大きいと見られやすい傾向があります。
反省の態度、その後の対応
相手方が誠実に対応したかどうかも見られます。
認めて謝罪した場合と、否定を続けた場合とでは、心証が変わることがあります。裁判になった場合の対応も、判断材料に含まれます。
謝罪の手紙を送る、治療費を一部負担するなど、具体的な行動で示されることもあります。言葉より行動のほうが、判断材料として重く見られる場合があります。
示談と裁判とでは、進み方が違う
裁判にせず、話し合いで解決する示談という方法もあります。
示談の場合、金額は当事者間の合意で決まります。裁判所の基準にとらわれず、双方が納得すれば成立します。
早く終わらせたいのか、金額に納得できるまで争いたいのか。この違いで、示談と裁判のどちらを選ぶかが変わってきます。
示談書や和解調書には、支払い方法や期限も明記しておく必要があります。口頭だけの約束では、後で支払いが滞ったときに困ります。
請求までにかかる時間と費用
示談交渉から始めて、まとまらなければ裁判、という流れになることが多いです。
裁判になると、判決までに半年から1年以上かかることも珍しくありません。金額だけでなく、時間もかかることを見込んでおいてください。
弁護士に依頼する場合は、慰謝料とは別に弁護士費用もかかります。差し引き後の金額で考えておくと、見通しを立てやすくなります。
弁護士に依頼するタイミングも重要です。証拠が十分にそろってから相談するほうが、話がスムーズに進みます。
二人分は取れない、という原則
配偶者と相手方、両方に請求できますが、719条により連帯債務の関係になります。
それぞれから満額を受け取れるわけではありません。合計で一つの金額の範囲に収まります。

条文の解釈や運用は変わることがあります。金額に関わる相談は、弁護士に確認することをおすすめします。
慰謝料の話し合いは、感情的になりやすい場面です。まず弁護士に相談し、冷静な立場から助言をもらうことをおすすめします。
よくあるご質問
相場のようなものはありますか。
傾向として語られる数字はありますが、期間や回数、婚姻期間などの事情によって大きく変わります。個別の金額については弁護士にご相談ください。目安として弁護士に聞いてみると、見通しが立てやすくなります。一つの目安として捉えてください。
証拠の内容で金額は変わりますか。
変わり得ます。期間や回数が具体的に分かる証拠があると、裁判所や相手方に事情を伝える材料が増え、判断がしやすくなります。証拠を整理してから相談すると、話がスムーズに進みます。早めに弁護士に見せることをおすすめします。
相手方だけに請求することはできますか。
できます。ただし配偶者にも請求できる関係にあるため、両方から満額を受け取れるわけではなく、合計の金額には限りがあります。請求の順番や進め方についても、弁護士に相談しておくと安心です。まずは弁護士にご相談ください。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
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