
別居していれば不貞にならない、という単純な話ではありません。婚姻関係が壊れていたかどうかが分かれ目です。
「もう別居しているから、誰と付き合っても自由なはずです」というご相談をいただくことがあります。結論から言うと、それほど単純ではありません。
別居という言葉だけでは、法律上の状態は決まりません。実際の生活の中身を見て判断されます。
別居しているだけでは
法律上、婚姻中は夫婦にお互いへの貞操の義務があります。別居していても、離婚が成立していなければ、婚姻関係そのものは続いています。
別居しているという事実だけで、新しい交際が自動的に問題なしになるわけではありません。ここを誤解している方は、少なくありません。同居していても、実質的に夫婦としての交流がまったくない場合は、破綻していると評価されることもあります。別居という形だけが基準ではありません。
分かれ目は「破綻していたか」
実務上よく議論になるのは、別居を始めた時点で、婚姻関係がすでに壊れていたかどうかという点です。

すでに関係が壊れていたと認められる場合、その後の交際について、慰謝料の請求が認められにくくなることがあります。逆に、まだ関係を続ける努力がされていた段階での交際は、不貞と評価されやすくなります。婚姻期間が長いほど、破綻の有無を判断する際に見られる事情も増える傾向があります。

生活費の送金が続いていたか、連絡を取り合っていたか、話し合いの機会が持たれていたか。こうした事情が、総合的に見られます。民法709条・710条による不法行為の慰謝料請求は、この「破綻していたかどうか」の判断に、大きく左右されます。
民法770条と、期間の壁
離婚そのものについては、民法770条1項1号に、不貞行為が裁判離婚の理由になると定められています。あわせて知っておきたいのが、期間の制限です。
民法724条により、不法行為による損害賠償の請求は、被害者が損害と加害者を知った時から3年、行為の時から20年で権利が消えます。気づいてから時間が経つほど、請求できる範囲が狭くなります。時効が迫っている、あるいはすでに過ぎているかもしれないと感じたら、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
条文の内容は改正で変わることがあります。この記事も、変わったときには書き直すつもりでいます。別居に至った経緯も、あわせて記録しておくと役立ちます。話し合いの末なのか、一方的に家を出た形なのかによって、見え方が変わります。
別居の日付から書き出す
別居中の話では、いつからどんな状態だったかの記録が、特に重要になります。
・3月10日(火曜)別居開始。お互いに荷物を運び出した
・3月10日(火曜)別居時点では、相手に新しい交際相手はいなかった
・7月15日(水曜)相手に新しい交際相手がいると分かった
別居を始めた日と、その時点での状況を先に書き残しておくと、あとで時期の前後関係を説明しやすくなります。別居後にやり取りしたメールやメッセージも、日付が分かる形で残しておくと、あとで役立ちます。
弁護士でなければできないこと
別居後の相手の生活状況を調べ、交際の実態を記録として残すご相談はお受けできます。破綻の時期についての一般的な考え方をお伝えすることもできますが、最終的な法的判断は弁護士や裁判所によるものです。弁護士に相談する際は、別居開始日や、そのときの状況をまとめたメモを持参すると、話がスムーズに進みます。
新しい住所を確認するために、住民票を取り寄せることは、私にはできません。
相手や交際相手に直接会って、慰謝料の話をまとめることもできません。弁護士法72条により、それは弁護士が担う仕事です。通話記録や口座の中身を確認することも、あわせてできない範囲です。
よくあるご質問
別居して何年経てば、交際は自由になりますか。
年数だけで決まるものではありません。婚姻関係が実質的に壊れていたと認められるかどうかが基準になるため、個別の状況によって判断が変わります。
相手が先に不貞をしていた場合、こちらの交際は問題になりませんか。
事情の一つとして考慮される可能性はありますが、自動的に免責されるとは限りません。詳しい判断は弁護士に確認することをおすすめします。
財産分与にも期限はありますか。
あります。民法768条2項ただし書により、離婚から5年以内に家庭裁判所への申立てが必要です。2024年の法改正で、それまでの2年から延びました。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。