
慰謝料の請求には期限があります。「知った時から3年」の考え方を整理します。
慰謝料を請求できる期間には、区切りがあります。民法724条に定められています。期間を過ぎてから気づいて、悔やまれるケースは少なくありません。
「知った時から3年」と「不法行為の時から20年」。二つの数字が出てきますが、意味が違います。
二つの数字がある
724条1号は、損害と加害者を知った時から3年で時効になる、という定めです。724条2号は、不法行為の時から20年が経つと、権利が消滅するという定めです。
実務で問題になりやすいのは、ほとんどの場合1号のほうです。20年が経過する前に相談に来られる方が大半だからです。
「知った時」とは
起算点になる「知った時」は、うすうす感じていた時ではありません。損害と、その相手が誰かの両方を、具体的に知った時点を指します。

例えば、相手の存在に気づいていても、氏名や関係が分からなければ、まだ起算点に達していないと考えられる場合があります。この判断は、事案ごとに分かれます。心配な場合は、弁護士に確認してください。
20年という別の区切り
20年のほうは、知っていたかどうかに関係なく進みます。不法行為があった時点から数えます。
気づくのが遅れるほど、20年の壁に近づきます。普段の相談では3年のほうが問題になりますが、頭の片隅に置いておいてください。長い別居期間のあとに気づいた、という場合には特に注意が要ります。
なぜ早く動いたほうがいいか
時効そのものより、記憶や記録が薄れることのほうが、実際には大きな問題になります。
日付や場所は、時間が経つほど曖昧になります。時効の心配がなくても、早めに記録を残しておく理由はここにあります。記憶が新しいうちに書き留めておくだけでも、あとの手続きがずいぶん楽になります。
条文は変わることがある
民法は改正されることがあります。この記事の内容は、現行の条文に基づいて書いていますが、条文が変わった場合は書き直します。正確な期間は、弁護士に確認してください。
条文の言葉をそのまま見ると
724条は「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する」と定めています。
難しい言葉ですが、日常の言葉に置き換えると「相手が誰かを知った日から数えて3年」ということです。
時効を止める方法
3年が近づいている場合、内容証明郵便で請求の意思を示す(催告)と、一定期間は時効の完成が猶予されます。
ただし猶予は一時的なもので、その後にあらためて裁判上の請求などの手続きが必要になります。時間稼ぎにはなりますが、根本的な解決にはなりません。早めに弁護士に相談し、次の手続きを進めてください。
書き残しておくといい日付
「いつ、相手の存在を知ったか」を、覚えている範囲でメモしておいてください。
・9月3日、報告書を受け取り、相手の氏名と関係を把握
この日付が、時効の起算点を考えるときの手がかりになります。
調査と時効の関係
調査を依頼するタイミングと時効は、直接には結びつきません。ただ、調査に時間がかかる案件では、早めに動き始めたほうが、時効を意識せずに進められます。
心当たりがあっても、正確な起算点は自己判断せず、弁護士に確認することをおすすめします。時効が過ぎたと思い込んで、確認せずにあきらめてしまう方もいます。思い込みで終わらせず、一度確認してみる価値はあります。
よくあるご質問
別居してから何年経っても請求できますか。
知った時からの3年が経っていなければ可能性はあります。別居の期間そのものは、直接の基準ではありません。個別の事情によるので、弁護士にご相談ください。
時効が近い場合、何をすればいいですか。
内容証明の送付など、時効の完成を止める手続きがあります。ただし猶予は一時的なものなので、早めに弁護士に相談し、次の手続きを進めることをおすすめします。
調べるだけでも時効に関係しますか。
調べる行為自体は時効に影響しません。ただ、知った時点がいつになるかに関わることがあるので、経過は記録しておいてください。曖昧なままにしないことが大切です。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
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