
請求できる相手は2人います。ただし、二重には取れません。仕組みを整理します。
慰謝料の話を、条文から整理します。
細かいところは弁護士の領分ですが、仕組みだけは知っておいたほうがいいです。知らないまま進めると、判断を誤ります。
請求の根拠
民法第709条が、根拠になります。
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」。
そして第710条が、財産以外の損害、つまり精神的な苦痛についても賠償の対象になることを定めています。これが慰謝料です。

請求できる相手は2人
不貞行為は、配偶者と相手方が一緒に行ったものと評価されます。
民法第719条は、「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」と定めています。
ですから、配偶者にも、相手方にも請求できます。
二重には取れない
ここが、いちばん誤解されやすい点です。
「連帯して」というのは、2人合わせて、認められた金額までという意味です。200万円が認められたなら、両方から200万円ずつ、合計400万円取れるわけではありません。
相手方から200万円受け取れば、配偶者への請求は消えます。逆も同じです。
どちらに請求するか
では、どちらに請求するか。着地点によります。
離婚する場合は、両方に請求することが多いです。取りやすいほうから回収する形になります。
関係を続ける場合は、相手方だけに請求することがあります。配偶者に請求しても、同じ家計から出ていくためです。
相手方に請求するための条件
相手方への請求には、条件があります。
相手方が、婚姻関係にあることを知っていたか、知り得たかです。まったく知らず、知り得なかった場合、責任を問えないことがあります。
ですから、調査では「知っていたと言えるか」に関わる事実も見ます。家に出入りしていた、子どもの存在を知っていた、といった点です。
時効があります
大事な点です。請求権には、期間の制限があります。
民法第724条は、「損害及び加害者を知った時から3年」または「不法行為の時から20年」で時効により消滅すると定めています。
「知った時」がいつかは、事案によって判断が分かれます。ここは弁護士に確認してください。ただ、期間があること自体は、頭に入れておいてください。
知ったら、早めに動く
時効の話をしたのは、急かすためではありません。
ただ、分かってから何年も置いておくと、請求できなくなることがあります。これは事実として知っておいてください。
動くかどうかは、そのうえで決めていただければと思います。決めないまま時間が過ぎるのが、いちばん惜しいです。
請求の順番
どちらに先に請求するか、という順番の問題があります。
実務では、相手方に先に請求する形が多く取られます。相手方のほうが、事を大きくしたくないと考えるためです。
そして、相手方から支払いを受けたあと、配偶者との条件を決める。この順番だと、こちらの立場が強くなります。
ただし、これは事案によります。相手方に資力がない場合は、順番が逆になることもあります。弁護士と相談して決めてください。
求償という仕組み
もう1つ、知っておくとよいことがあります。
相手方が慰謝料を支払った場合、その相手方は、共同で責任を負う配偶者に対して、負担部分を請求できることがあります。これを求償といいます。
つまり、相手方から受け取ったお金の一部が、結果的に自分の家計から出ていくことになる場合があります。関係を続ける場合には、この点が問題になります。
これを防ぐため、合意の中で求償をしない旨を定めることがあります。ここは、必ず弁護士に設計してもらってください。
よくあるご質問
相手方だけに請求することはできますか。
できます。関係を続ける場合に、よく取られる形です。
相手方が「知らなかった」と言っています。
知り得たかどうかが問われます。生活の様子から判断されますので、その材料が調査の対象になります。
時効が心配です。まず何をすればいいですか。
弁護士にご相談ください。期間の起算点は事案によりますので、早めに確認されることをおすすめします。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。