
証拠がそろったからといって、必ず離婚に進むわけではありません。証拠は選択肢を増やす道具です。
報告書をお渡ししたあとに、「今回は、離婚しないことにしました」と言われることがあります。よくある形として書きます。
証拠が出たからといって、必ず離婚に進むわけではありません。この記事では、そう決めた方の考え方について書きます。
証拠は、結論ではない
証拠は、選択肢を増やすための材料です。決断そのものではありません。
離婚する、しない、しばらく様子を見る。どの道を選んでも、証拠があることに意味があります。選ばなかった道は、消えてなくなるわけではありません。
証拠を見た瞬間の感情と、時間をかけて出す結論は、違うことがあります。落ち着いてから選び直しても、遅すぎるということはありません。
「せっかく調べたのに」という声について
正直に書きます。調査員としても、「離婚を決めるための後押しになれば」と思うことはあります。
ですが、後押しをするための調査ではありません。選ぶための材料をそろえるのが、私の仕事です。選んだ結果に口を出すことはしません。

証拠があるからこそ、選べること
離婚しないと決めた場合でも、証拠が役に立つ場面はあります。
相手との話し合いで、関係を終わらせる約束を取り付ける。今後の行動について、具体的な条件を出す。証拠があるからこそ、あいまいな謝罪で終わらせずに済みます。
証拠がないまま話し合うと、相手が事実を認めないところから始まってしまいます。証拠があることで、話し合いの土台がはっきりします。
選ばなかった選択肢は、消えない
「今回は請求しない」と決めても、権利がすぐになくなるわけではありません。
不法行為にもとづく損害賠償の請求権は、民法724条により、損害と加害者を知ったときから3年で時効にかかります(不法行為のときから20年という期間もあります)。期間内であれば、あとから考えを変えることもできます。詳しい期間の当てはめは、弁護士に確認してください。

手伝えるのはここから
どちらを選んでも、私の立場は変わりません。
報告書は、離婚する場合にも、しない場合にも使える形で作っています。選んだ結果に応じて、報告書の使い方を一緒に考えることはできます。
結論を急かすことも、遠回しに誘導することもしません。事実だけをお渡しして、そのあとの判断はご本人にお任せしています。
関係を続けると決めたときに、決めておきたいこと
離婚しないと決めた場合、次に大事になるのが「これからどう過ごすか」です。
謝って終わりにするのではなく、今後の連絡の取り方や、外出の仕方について、具体的な約束を交わしておくこと。これが、同じことを繰り返さないための備えになります。
約束は、口約束のままにせず、簡単な書面にしておくことをお勧めします。感情が落ち着いた今だからこそ、冷静に条件を整理できます。
周囲にどう説明するか
離婚しないと決めたことを、周囲にどう伝えるかで悩む方もいます。
すべてを話す必要はありません。「話し合って、今の形を続けることにした」という一言で十分です。詳しい経緯まで説明する義務は、誰に対してもありません。
中には、離婚しないことを心配して意見してくる人もいます。心配してくれること自体はありがたく受け止めつつ、決めるのはご自身であることを、はっきり伝えて構いません。
時間が経ってから、気持ちが変わることもある
その時点では続けると決めても、時間が経って考えが変わることは、誰にでもあります。
一度決めたことに、ずっと縛られる必要はありません。状況が変われば、あらためて選び直して構いません。決め直すことは、優柔不断ではありません。状況に合わせて考え続けている証拠です。
私のところでは、一度きりの相談で終わりにする必要はありません。何度でも、状況が変わるたびにお話をうかがいます。
離婚しないと決めた方の多くが、その後も折にふれてお話を聞かせてくださいます。一度の決断で関わりが終わるわけではありません。その後の変化も、気軽にお知らせください。報告書をお渡ししたあとのフォローも、私の仕事の一部だと考えています。
よくあるご質問
離婚しないと決めたら、報告書は無駄になりますか。
無駄にはなりません。関係を続けるための約束事を決める際の材料として使う方もいます。
後から考えが変わって、請求したくなったら。
時効の期間内であれば可能です。早めに弁護士へご相談されることをお勧めします。
離婚しない決断を、否定されませんか。
しません。決めるのはご本人です。私はどちらの決断も、同じように受け止めます。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。