
「相場はいくらですか」とよく聞かれます。答えにくい質問ですが、幅がある理由と、決める要素を整理します。
「相場はいくらですか」と、よく聞かれます。答えにくい質問です。ただ、幅がある理由と、金額を決める要素は整理してお伝えできます。インターネットで見かける数字を、そのまま自分の状況に当てはめる前に、知っておいてほしいことがあります。同じような境遇に見えても、結果として出てくる金額は事情ごとに違います。
そもそも、何に対する対価か
慰謝料は、不貞行為によって受けた精神的な苦痛に対する賠償です(民法第709条・第710条)。物を壊されたときの弁償とは性質が違い、目に見えない苦痛を金額に置き換える作業だからこそ、幅が生まれます。同じ出来事でも、受け止め方によって苦痛の大きさは違って評価されます。数字だけを追いかけると、本質を見失いがちです。金額は結果の1つであって、目的そのものではありません。

考慮されるとされる要素
一般に、次のような点が考慮されるとされています。順番に意味はなく、事情によって重みは変わります。
- 婚姻期間の長さ
- 不貞の期間と回数
- 子どもの有無と年齢
- 婚姻関係が、その時点で破綻していたかどうか
- 離婚に至ったかどうか
- 謝罪や反省の態度
これらの組み合わせで、金額の幅が生まれます。共同不法行為として配偶者と相手方の両方に請求できる場合もありますが(民法第719条)、二重には受け取れません。1つの要素だけを見て、金額を予想するのは危険です。似たような事情に見えても、細部の違いで評価が変わることは珍しくありません。

進め方の順番
金額を決めるまで、次の順番で進めることをおすすめしています。順番を飛ばすと、あとで手戻りが生じやすくなります。焦る気持ちは分かりますが、1つずつ確実に進めてください。
- 証拠を整理し、期間や回数を明確にする
- 相手の資力を、分かる範囲で把握する
- 弁護士に相談し、請求できる範囲の見通しを聞く
- 交渉か、裁判かの方針を決める
- 合意した内容を書面にし、可能であれば公正証書にする
3番目を飛ばして交渉に入ると、あとで金額の妥当性が分からなくなります。早い段階で弁護士に相談してください。無料相談を行っている法律事務所も多くあります。相談の際は、証拠と事実関係をまとめてから伺うと、話が早く進みます。
日付をつけて残しておく
金額を考える前に、事実関係を整理しておくと、弁護士への相談がスムーズになります。記憶だけに頼ると、期間や回数があいまいになりがちです。日付の入った記録があるだけで、話の信頼性が変わります。
・9月2日(水)不貞の期間を整理。最初の記録は5月
・9月9日(水)婚姻期間、子どもの年齢を書面にまとめる
・9月16日(水)相手の勤務先・持ち家の有無を確認
ここまでは調べられます
できないのは、相手方と直接金額の交渉をすることです(弁護士法第72条)。相手の口座の中身を見ることもできません。金額を口頭で約束させることもできません。書面を作ることも、こちらの領分ではありません。交渉の代理そのものが、法律で認められていない行為だからです。
できるのは、証拠と事実関係を整理し、弁護士に相談しやすい形にまとめることです。証拠の集め方から、弁護士への相談の仕方まで、順を追ってお手伝いします。整理された資料があるだけで、弁護士との初回相談の密度が変わります。
よくあるご質問
具体的な相場を教えてもらえますか。
金額の見通しは弁護士の判断になります。相場という言葉に振り回されず、まずご自身の事情を整理することから始めてください。整理ができていれば、相談もスムーズです。
調査の結果は、金額に影響しますか。
不貞の期間や回数が具体的に示せると、判断材料が増えます。写真や記録が具体的であるほど、交渉の材料としては強くなります。あいまいな記憶より、日付の入った記録が有利に働きます。
相手に資力がない場合は、どうなりますか。
分割にする、金額を調整するといった形が取られることがあります。状況に応じて、弁護士とともに現実的な着地点を探ります。無理な金額を掲げても、回収できなければ意味がありません。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。