
相手方への請求を考えるとき、勤務先の特定が実務でどう役に立つのかを書きます。
相手方への請求を考えるとき、勤務先が分かっているかどうかで、その後の手続きの進めやすさが変わります。
なぜ、勤務先が要るのか
裁判を起こす場合、相手の住所が分からないと、手続きが進められない場面があります。勤務先が分かっていれば、そこを経由して所在を確認できることがあります。
話し合いで解決する場合でも、勤務先が分かっているという事実そのものが、交渉の材料になることがあります。

外から分かること
出社と退社の時刻、使っている出入り口、社員証や名札の有無。こうした要素を積み重ねて、勤務先を絞り込んでいきます。
建物の名前が分かっても、複数の会社が入っている場合は、それだけでは確定しません。何度か通って、同じ動きを確認する必要があります。
会社に電話をかけて在籍を確認する、受付で名前を尋ねる。こうした方法は取りません。相手に調査が伝わってしまうためです。

1度の訪問だけでは、その建物にたまたま立ち寄っただけかもしれません。複数回、同じ時間に同じ場所へ向かうことを確認して、初めて勤務先だと判断します。
勤務先が分かったあとの扱い
勤務先が分かったとしても、そこに直接連絡するかどうかは、慎重な判断が要ります。職場に影響が及ぶ形での請求は、避けたほうがいい場合が多いです。
この先の進め方は、弁護士と相談しながら決めていくことをおすすめします。
建物の入退館記録との違い
オフィスビルによっては、入退館にカードキーを使う場合があります。この記録そのものを、外部の私が確認する手段はありません。あくまで、出入りの様子を外から見て記録することが基本になります。
受付を通る必要がある建物であれば、来訪者としての出入りと、勤務としての出入りとの違いも、見分ける材料になります。
一緒に出社する人、同じ時間に退社する人がいれば、勤務先の実態を裏づける材料になります。ただし、その人物自身に調査が及ぶわけではありません。
あくまで、対象者の行動を確認するための周辺情報として扱います。
在宅勤務が混ざる場合
出社の頻度が少ない働き方の方も増えています。在宅の日と出社の日が混ざっていると、勤務先の特定にはより多くの日数が必要になることがあります。
出社する曜日がある程度分かっている場合は、その曜日に絞って確認することで、日数を抑えられることもあります。
勤務先が特定できても、雇用形態までは外から分かりません。正社員か、それ以外か。ここは、裁判所を通じた手続きで確認する範囲になります。
勤務先の特定が必要になる典型的な場面
勤務先の特定が必要になるのは、多くの場合、話し合いや裁判の準備を進める段階です。相手方に書面を送る、あるいは裁判所からの書類を届けるためには、確実な送付先が要ります。自宅の住所が分かっていても、実際にそこに住んでいるかどうかを裏づける材料として、勤務先の情報が役立つこともあります。
勤務先が分かることで、相手の生活の安定度や、収入のおおよその見当がつくこともあります。これは、慰謝料や財産分与の話し合いにおいて、間接的な材料になることがあります。
特定を依頼するタイミング
離婚や慰謝料請求を具体的に考え始めた段階で、勤務先の特定をご依頼いただくことが多いです。まだ気持ちが固まっていない段階でも、情報だけ先に集めておきたいというご相談もお受けしています。
情報を集めておくこと自体に、期限はありません。ただ、対象者が転職する可能性がある場合は、早めに動いておいたほうが、確実な記録を残しやすくなります。弁護士に相談する前の段階でも、こちらにまずご相談いただいて構いません。必要な情報が何かを整理したうえで、調査の範囲を決めていきます。
よくあるご質問
勤務先が分かれば、給与も分かりますか。
分かりません。給与の情報は、裁判所を通じた手続きが必要になります。
勤務先の特定は、どれくらいの日数がかかりますか。
出社のパターンによります。数日で分かることもあれば、もう少しかかることもあります。
勤務先が分かったら、こちらから会社に伝えてもいいですか。
お勧めしません。伝え方によっては別の問題を生むことがあります。まず弁護士にご相談ください。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。