
感情が高ぶったときに口にしてしまう一言が、脅迫罪や強要罪にあたることがあります。線引きを整理します。
感情が高ぶったとき、つい口にしてしまう言葉があります。
「バラすぞ」「会社に言うぞ」。この一言が、法律の上での問題になることがあります。
裏切られた側であっても、この一線を越えると、話が別の方向に進んでしまいます。
脅迫罪という線
刑法222条の脅迫罪は、相手や家族の生命、身体、自由、名誉、財産に害を加えると告げることで成立します。
法定刑は、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。本当にやるつもりがなくても、告げた時点で問題になり得ます。
「殺してやる」といった生命に関わる言葉だけでなく、「会社に言いふらす」といった名誉に関わる言葉も対象になります。
脅迫や強要は、実際に相手が行動をしなくても、告げた時点で成立し得る犯罪です。
「結局、何もしなかったから大丈夫」という考え方は、法律の上では通用しません。
強要罪という線
脅した上で、何かをさせよう、あるいはさせまいとした場合は、刑法223条の強要罪にあたることがあります。
法定刑は、3年以下の拘禁刑です。「土下座しろ」「今後一切連絡するな、破るなら覚悟しろ」といった要求が、これにあたる場合があります。

本人に直接ではなく、共通の知人を介して伝えた場合も、脅迫にあたることがあります。
伝わり方が間接的であっても、内容によっては同じように扱われます。
怒りは正当でも、伝え方が問われる
裏切られた側の怒りは、当然のものです。
ただ、正当な怒りであることと、伝え方が法律に触れないことは、別の話です。ここを分けて考える必要があります。
感情がぶつかる場面ほど、あとから振り返って「言い過ぎた」と気づくことが多いものです。
メッセージも対象になる
直接会って言わなくても、メッセージや電話での発言も対象になります。
送った時点で記録に残るので、あとから問題にされやすいという面もあります。

直接会って話す機会を減らし、必要な連絡は書面や弁護士を通す形にするだけで、衝突の回数は減らせます。
顔を合わせると、つい言葉が強くなってしまう、という方は特に意識してみてください。
受けた側としての備え
逆に、脅すような言葉を受け取る側になることもあります。
その場合は、感情的に言い返すのではなく、記録を残すことを優先してください。
感情的なやり取りの記録は、あとになって「どちらが先に何を言ったか」を示す材料になります。
自分の発言も含めて、事実として残しておくことが、結果として自分自身を守ることにつながります。
警察に相談するという選択肢
脅迫の内容が深刻な場合、警察に相談する方法もあります。
命や身体に関わる内容であれば、迷わず早めに相談してください。
感情的な言い争いを子どもの前で行うと、別の問題にもつながります。
脅すような言葉が出てしまいそうな場面では、まず場所を変えることを考えてください。
相手に謝らせたい、認めさせたいという気持ちは自然なものです。
ただ、その手段が脅しになってしまうと、こちらの正当な主張まで弱くなってしまいます。
弁護士費用を気にする方へ
内容証明の作成だけであれば、比較的抑えた費用で依頼できることもあります。
まずは費用の目安を聞いてみることから始めてください。
脅迫や強要にあたる言葉を我慢するだけでなく、自分の感情も別にメモしておいてください。
あとで弁護士に相談する際、経緯を整理して伝えやすくなります。
言いたいことは、弁護士を通す
伝えたいこと、要求したいことがあるなら、弁護士を通じた内容証明などの形にしてください。
感情のまま送った言葉が、こちらの立場を弱くすることがあります。
ここに書いた条文の内容は、今の時点で確認できているものです。法律が変わったときは、書き直すようにしています。
よくあるご質問
「言いふらすぞ」と言っただけでも脅迫になりますか。
名誉に対する害を告げたとして、脅迫罪にあたる可能性があります。感情的になっても、口にしないほうが安全です。
土下座を要求したら、強要罪になりますか。
脅して要求した場合は、強要罪にあたる可能性があります。要求の伝え方は、弁護士を通す形をおすすめします。
相手から先に脅すようなことを言われました。どうすればいいですか。
発言を記録に残しておいてください。日時と内容が分かる形で保存し、落ち着いてから弁護士にご相談ください。
相談だけで終わって、大丈夫です。話を聞いた私が、そのまま夜の現場に出ます。
お電話は9時から21時まで受け付けています。最初の一言は「相談したい」だけで構いません。